No 029 四十曲峠(岡山県)~出雲街道「鉄の道」の峠~
四十曲峠(岡山県)

四十曲峠(岡山県)

しじゅうまがとうげ
後鳥羽上皇の歌碑が旧道のそばに立つ 後鳥羽上皇の歌碑が旧道のそばに立つ
●岡山県新庄村~鳥取県日野町
●標高  780メートル

 出雲街道(国道181号)は、かつては京の都へ刀剣をはじめとして鉄器類が行き来した「鉄の道」である。優れた砂鉄が採取できる中国地方や山陰地方は、大陸から伝来した製鉄技術が開花した「たたら」の場である。今でもその技術は受け継がれている。
厳寒の2月、出雲街道で新庄の宿に着き四十曲峠に向かった。雪に覆われた世界はマイナス5度を指している。道路はアイスバーン状態で峠越えができるか不安になる。昔の人たちもこんな不安な気持の中、峠に向かったに違いないと感じた。旧道には、地元の方が「ごとばさん」と呼ぶ後鳥羽上皇を偲ぶ公園がある。
「みやこ人 たれふみ越えて 通いけん  向こうのみちの なつかしきかな」

峠を越えた冬の山陰の山々の風景 峠を越えた冬の山陰の山々の風景
 承久の乱(1221年)、鎌倉幕府から政権を取り戻すべく反乱を起こした罪を着せられた後鳥羽上皇は隠岐島に流されていく。この地を通ったとき詠んだ句碑が残されている。承久の乱より、天皇や公家は完全に武士による政権下に置かれ、戦国、江戸時代を経て、幕末の大政奉還まで続くことになる。



四十曲峠map

★四十曲峠へのアクセス

・アクセス米子道久世IC下車、国道181号で米子方面へ向かい約50分

★周辺の見所

・後鳥羽公園は歴史の道として整備されて当時を偲ぶことができる。4月、上旬~中旬にかけて新庄村のがいせん桜は有名。


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