安房峠(あぼうとうげ)は、北アルプスの焼岳と乗鞍岳を望み、アカンダナ山と安房山の鞍部を言う。古くから信濃と飛騨を結ぶ交易の路であり、最大の難所として知られていた。 峠の名は約700年前、この地を訪れた高僧「日蓮上人」(1222年~1282年)がこの峠を越える際、あまりの難所に、修行時代の苦しかったときを思い出し、自分の出身地である安房の国の名を取って命名したと言われている。
もともと、信濃の松本と飛騨高山を結ぶ交通は、野麦峠を越える野麦街道が本街道であった。一方、安房峠越えは距離は短いが、難所が多いため脇街道であった。昭和に入り道幅も広く整備され、国道158号になり現在に至っている。安房峠付近は日光のいろは坂とならんで紅葉の名所として知られ、秋のシーズンになるとマイカーが集中し、大渋滞を起こすことが度々だった。峠を越えるのに6~7時間もかかったことがあると聞いた。